スケートショップをやっていて一番聞かれることが多いこと。それは、
何から練習したらいいですか?
という質問。
うちでスケボーを買ってくれたお客さまから、こんな風に聞かれることが多い。買った人がスケボー初心者だと、ほぼ100%聞かれる。
これまでは、
まずは、プッシュが一番大切です。
とか、
カービングとターンができないと、トリックはできないです。
とか、
止まったままのオーリーをやっていても面白くないから、簡単でもいいから、動きながらトリックをやっていきましょう。
という風に答えていたのだけど、これではダメだということに気づいた。これを知っても、スケボーは上手くならんし、オーリーもできないからだ。
何から練習したらいいのか?という質問の先には、きっとインスタグラムやYouTubeで見たような、オーリーを使ったストリートスケートのトリックを考えているということだ。
オーリーしてグラインドしたり、スライドしたり、キックフリップをしたりというのが、自分がスケボーを始めた延長線上に普通に存在している未来だと思っている状態での質問だ。
もっと楽観的になると、
とりあえずオーリーはできるようになりたいっすね!
と、爽やかに言い放つ人もいる。
楽観的なことはとても大事だ。人間、ある程度楽観的じゃないと、こんな世知辛い世の中、やっていけやしない。
ただ、オーリーは、その楽観をいとも簡単に打ち砕くのである。
そう、スケボーは、アホみたいに難しい遊びなのだ。
オーリーは、とりあえずできるほど簡単ではないのだ。
自分は、スケートボードを売ることで、生計を立てている。スケボーを売らんことには、飯も食えんし、子供の学費も払えないし、猫にフードも買ってあげられない。
だから、できるだけ、スケボーを楽しくて魅力的で簡単なもののように語って、より多くの人にスケボーを買ってもらいたいのだけど、
無理なのだ。
スケボーは、難しすぎる。
多分、この世で一番難しい遊びなのではないかと思う。
どんな遊びやスポーツでも、なにかしらのまぐれがあったり、力いっぱいやることで、何かしらの爽快感を得ることができる。
でも、スケボーは、上手くなる以外に楽しくなる方法がないのである。
そして、上手くなったと実感できる最初のトリックであるオーリーが、難しすぎる。スケボーを始めた人の9割くらいは、オーリーができなくてやめているのではなかろうか。
でも、1割くらいの人は、なんとかオーリーができるようになって、ストリートスケートのトリックを楽しめるようになる。
オーリーができるようになった人は、何をしたのか。
何か特別なコツがあるのではないか?
正しいセッティングのスケボーを買えば、簡単にできるのではないか?
一流の先生に習えばできるようになるのか?
ならん。そんなのは、オーリーの難しさの前では、まったく役に立たない。
オーリーができるようになるためにやること、それは、
スケボー以外の趣味をやめる。
オーリーをマスターするなら、スケボー以外の趣味をやめて、自由な時間を全部スケボーするしかない。
街で滑っているあの不良たちも、そうやってオーリーができるようになったのだ。
何から練習するとか、どんな練習をするかとか、どこで練習するかというのは、覚悟を決めてからの話。
まずは、スケボーを買ったら、他の趣味をやめる。そしたら、多分、オーリーできるようになる。
これからは、お店では、これを伝えていこうと思う。
もしこれを読んで、他の趣味をやめてまでスケボーをしたくないと思ったなら、やらない方がいい。
なぜなら、スケボーの本当の地獄は、オーリーができないことではないからだ。
オーリーができるようになったばっかりに、人生をスケボーに捧げてしまって、どうしようもなくなった人がたくさんいる。
スケボー沼は、ハマったら出られない。それでもスケボーをしたいなら、ぜひハイファイブへ。一緒に沼に沈みましょう。
